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© ADRIEN DIRAND © BIBLIOTECA APOSTOLICA VATICANA

Audacious odysseys

大胆な旅物語

2025ジュビリーの祝祭の一環としてバチカン図書館で開催中の、旅物語をテーマとした展覧会「En Route」。マリア・グラツィア・キウリは、バチカン図書館から招聘され、本展覧会のキュレーション プロジェクトに参加しました。新たな発見と考察の旅へと誘います。

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© ADRIEN DIRAND © BIBLIOTECA APOSTOLICA VATICANA

永遠の都ローマとバチカンが、2025ジュビリーに数百万人の訪問者を迎える準備を進める中、バチカン図書館は215日、展覧会「En Routeの一般公開を開始しました。今年の1220まで開催予定の、歴史的遺産と現代アートを組み合わせた本展覧会では、どこか遠い場所が、異なる文化や時代、感性が交わる出会いの場所となる、普遍的な体験としてのというテーマについての考察を促します。ドン・ジャコモ・カルディナーリ、シモーナ・デ・クレシェンツォ、フランチェスカ・ジャンネット、デリオ・V・プロヴェルビオのキュレーションにより企画されたこの回顧展は、イタリア人外交官チェーザレ・ポマが彼のキャリアを通じて収集した新聞のコレクションを出発点としています。「Poma.Periodiciとして知られるこのコレクション1 には、フランスの定期刊行誌『En Route! 2も含まれており、バチカン図書館が所蔵しています。

バチカンは、所蔵する貴重な文書の一般公開に先立って、歌手のジョヴァノッティ(本名ロレンツォ・ケルビニ)、イラストレーターのクリスチャーナ・S・ウィリアムズとともに、ディオールのウィメンズ クリエイティブ ディレクターのマリア・グラツィア・キウリを招聘。彼女は、自身のクリエイティブなビジョンというプリズムを通して、魅力あふれる文書を精査、研究し、再解釈しました。

1 展覧会「En Route」の開催と並行して、ディオールの支援により、「Poma.Periodici」コレクションの修復、目録作成、デジタル化を目的とした助成金プログラムが創設されました。

2 2人のジャーナリスト、ルシアン・ルロワとアンリ・パピヨーにより、1895年から1897年にかけて出版されました。

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マリア・グラツィア・キウリは「En Route」展において、徹底したフェミニズムの視点に立ち、ファッションと旅のつながりについて問いたいと考えました。そして、19世紀に既成概念や偏見、タブーなどをものともせず世界中を旅した6の女性冒険家、アニー・ロンドンデリー、エリザベス・ビスランド、ネリー・ブライ、ガートルード・ベル、アグネス・スミス・ルイス、マーガレット・ダンロップ・ギブソンの物語にスポットライトを当てた独創的な作品を制作しました。

こうして、バルベリーニの間で披露されたのは、カリシマ・スワリ、チャーナキヤ工房、そしてチャーナキヤ工芸学校とのコラボレーションにより誕生したインスタレーション。女性服の進化についての探求を、レイヤー技術や文化的レファレンスを駆使して表現した、6のテキスタイルパネルからなるこの作品では、類まれな女性探検家たちの軌跡とさまざまな種類の卓越した職人技が魅惑的な対話を繰り広げます。リネンとヘンプの糸で織られ、インド発祥のカンタ刺繍による装飾が施されたそれぞれのテキスタイルパネルには、非凡な女性たちが辿った旅路が記され、古代の羊皮紙文書のように仕上げられています。地図のひとつには、「femininity, the trapフェミニニティ、罠)」という、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの言葉が書かれています。

D : Culture - News Exhibition En Route Vatican
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© Edoardo Winspeare

旅物語はさらに続きます。2つの地球儀が、さまざまな時代において、テキスタイルや刺繍技術がどのように移り変わったのかを辿ります。一つ目の地球儀では、さまざまな織りの技法を用いて伝統的な地図を再現し、世界のさまざまな地域における織物の豊かさを表現。そして、もうひとつの地球儀には、チャーナキヤ工芸学校の女性職人たちの旅に対する夢を語る、より独創的な想像上の地図が描かれています。

マリア・グラツィア・キウリは、今回のプロジェクトについて、次のように説明しています。「私がチャーナキヤの職人たちとともにデザインしたこのインスタレーションは、テキスタイルとクラフツマンシップによる表現力の大きさを示しています。これは、国境や文化の違いを超越することのできる非言語コミュニケーションのひとつの形として、過去の女性探検家たちの大胆な精神にオマージュを捧げる意義深い方法です。世代や大陸を超えて私たちを結びつけた今回のプロジェクトを誇りに思っています」。

マリア・グラツィア・キウリにとって、この世界一周の旅物語は、身体と衣服の関係、また、意図と機能の関係について問い直す機会でもありました。そのような考察から生まれた、6の象徴的なパイオニアたちが身に着けていた私物に着想を得た作品のコレクションが、トラベルトランクの中に展示されています。

魅惑あふれる旅物語であり、自己肯定と解放の手段としてのファッションの本質に贈る賛歌です。

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