For the Beauty
of Venice

ヴェネツィアの美のために

第60回ヴェネツィア ビエンナーレ国際美術展のプレオープニング期間に、メゾンはヴェネツィアン ヘリテージ財団とのコラボレーションのもと、ヴェネツィアの文化遺産支援のために卓越の舞踏会を開催。時を超えたひとときは、豊かなサヴォワールフェールと、クリスチャン・ディオールがこよなく愛した祝祭の芸術と魔法を際立たせました。

DSC_9666

© ADRIEN DIRAND

「セレニッシマ」と呼ばれたヴェネツィアで、2019年のラビア宮殿、2022年のフェニーチェ大劇場に続いて、今回の舞踏会の舞台となったのは「アルセナーレ ディ ヴェネツィア」。ヴェネツィアの歴史の象徴であり至宝である、中世の造船所跡です。普段は一般公開されていないこの建物が、この夜は絢爛たるレセプションホールに姿を変え、ヴェネツィアン ヘリテージ財団の支援者やアーティスト、VIP、メゾンの友人たちを招いた格調高いディナーが催されました。ヴェネツィアの象徴である水との永遠の絆に贈るオマージュとして、「ナウマキア」と題されたこの舞踏会のテーマは、古代ローマの円形闘技場で行われた催し物の中でも特に人気があった模擬海戦に由来します。アルセナーレの岸壁では、「レガータ ストリカ」(毎年9月に開催されるヴェネツィアの船祭り)から借り受けたゴンドラ型の船が、鮮やかな色彩でライトアップされ、ゲストを出迎えました。

ベルベット張りの壁の間に置かれた、堂々たる船を想起させるテーブルの中央には、ヴェネツィアの街並みと運河を豪華なミニチュアで再現した魅力あふれるセンターピース。有名な模型職人ジルベルト・ぺンゾがディオールの依頼を受け制作した、サン マルコ広場のカンパニーレ(鐘楼)やリアルト橋などのヴェネツィアを象徴するモニュメントのレプリカが、見事なフラワーアレンジメントの中に姿を現します。ヴェネツィアのサヴォワールフェールを讃え、永続させたいというディオールの願いを反映するように、ムラーノの吹きガラスで製作されたシャンデリアは、熟練のガラス職人の卓越した技を披露します。文化と伝統の間で紡がれる魅惑の対話は、テーブルクロスやテーブルウェアにも宿ります。テーブルクロスには、ヴェネツィアの伝説のカーニバルでの道化師の衣装をさりげなく連想させるアルルカン(ひし形)モチーフがあしらわれ、ディオール メゾンのテーブルウェアを彩るアイコニックな「カナージュ」のグラフィックと呼応しています。

アルセナーレの「ポルタ マーニャ」修復プロジェクトと「カ ドーロ美術館」の改修を支援するための資金を集めることを目的としたこの壮大なセレモニーは、あらゆる形の創造性というプリズムを通して、ディオールとイタリアの新たな絆を見事に示しました。

dior-bal-venise-pierremouton-1030389

© PIERRE MOUTON

D: Culture - News - Event - Venetian Heritage
 / 
00:00
D: Culture - News - Event - Venetian Heritage
 / 
00:00

ディオールと舞踏会:情熱と夢

子供の頃から、パーティや仮装舞踏会といった、夢が現実を包み込むような瞬間に魅了されていたクリスチャン・ディオールは、豪華な祝祭への憧憬を表現し続けていました。1951年、ヴェネツィアのラビア宮殿で友人のシャルル・デ・ベイステギによって開催された「世紀の舞踏会」に参加し、この舞踏会のためにサルバドール・ダリとともに素晴らしい衣装をデザインしたクリスチャン・ディオールは、のちに自身の回想録* の中で次のように語っています。「私が今まで経験した中で、最も美しい夜でした。同じような夜を過ごすことは二度とないでしょう。その豪奢な衣装は、壁に描かれたティエポロのフレスコ画の人物の華麗な衣装に匹敵するほどでした。(中略)あのようなパーティは真の芸術作品です」。クリスチャン・ディオールがオートクチュール コレクションのために考案した、「バル ヴェニシアン(ヴェネツィアの舞踏会)」、「ニュイ ドゥ シャトー(城の夜)」、「ミル エ ユヌ ニュイ(千夜一夜物語)」、「バル ドートルフォワ(いにしえの舞踏会)」のデザインやネーミングからも明らかなように、舞踏会への情熱は彼にとって、尽きることのないインスピレーションの源でもあったのです。

* 『Christian Dior et moi』、クリスチャン・ディオール著、Vuibert出版。

DSC_9666
dior-bal-venise-pierremouton-1030389